憲法から考える実名犯罪報道

マスメディアでは、被疑者、被告人の段階で実名報道がなされる。そして、裁判で有罪が確定していないのに、犯人のように報道される。実名犯罪報道について、これまで憲法学では「表現の自由」は絶対との考えからあまり問題にされなかった。実名犯罪報道の問題点を憲法学の視点から考察する。
第1部 いまも続く実名犯罪報道の現状
第1章 足利事件‥‥‥山際永三
第2章 名古屋偽造文書事件‥‥‥矢内真理子
第3章 看護師爪ケア冤罪事件‥‥‥飯島滋明
第4章 福井女子中学生殺人事件‥‥‥中嶋啓明
第5章 痴漢冤罪逮捕事件‥‥‥飯島滋明
第6章 京都劇団員「窃盗」冤罪事件‥‥‥矢内真理子
第7章 富山(氷見)事件‥‥‥山際永三
第8章 北陵クリニック事件‥‥‥山口正紀
第9章 事故・犯罪被害者の実名報道被害‥‥‥山口正紀
第2部 実名犯罪報道を考える視角
第1章 犯罪報道と報道基準の変遷‥‥‥山口正紀
第2章 「安全・安心社会」とマスメディア‥‥‥清水雅彦
第3章 権力に弱い実名報道主義‥‥‥浅野健一
第4章 実名犯罪報道に対する名誉回復は可能か--私の「実名犯罪報道」を手がかりに‥‥‥飯島滋明
第3部 憲法から考える実名犯罪報道
第1章 実名犯罪報道を憲法から考える視点‥‥‥飯島滋明
第2章 個人の尊厳から見た実名犯罪報道‥‥‥井上知樹
第3章 実名犯罪報道をめぐる無罪推定法理の意義と射程‥‥‥渕野貴生
第4章 実名犯罪報道と社会復帰の権利‥‥‥奥田喜道
第5章 表現の自由の原理と実名犯罪報道--憲法とマスメディアをめぐる原点と現点‥‥‥長峯信彦
第6章 実名犯罪報道と知る権利‥‥‥榎澤幸広
第7章 スイスにおける事件報道の現状と憲法論‥‥‥奥田喜道
第8章 実名犯罪報道と忘れられる(忘れてもらう)権利‥‥‥奥田喜道
おわりに‥‥‥浅野健一