自由を奪われた精神障害者のための弁護士実務
刑事・医療観察法から精神保健福祉法まで
精神障害者の拘禁に関わる法律には、主に刑事訴訟法、医療観察法、精神保健福祉法の3つがある。そして、当事者はそのあらゆる場面で何度も、自分の意に沿わない身体的拘束を受ける機会がある。そのとき、当事者に寄り添い、彼ら/彼女らの身体的自由を保護することができるのは弁護士である。各法律の手続の概説と注意点をまとめた。
1 精神障害者に関する法の変遷
2 入院医療中心主義
第2章 精神疾患を知る
1 はじめに
2 外から見える症状
3 診断基準
4 精神疾患の治療法
5 統合失調症
6 〈精神疾患がある〉ことの位置づけ
7 病識
8 精神障害者であるクライアントとのつき合い方
刑事手続
第3章 捜査段階の弁護活動
1 精神障害への気づき
2 接見における注意点
3 弁護人選任を拒否する場合の対応
4 情報の収集
5 取調べへの対応
6 処遇への対応
7 起訴前の鑑定への対応
8 終局処分に向けた活動
第4章 公判段階の弁護活動
1 訴訟能力の検討
2 責任能力の検討
3 責任能力を争う場合の弁護活動
4 訴訟能力や責任能力を争わない場合
5 専門職との連携・福祉への橋渡し
6 保釈の活用
7 公判手続における配慮
第5章 判決直後の弁護活動
1 無罪もしくは執行猶予判決の場合
2 実刑判決の場合
心神喪失者等医療観察法
第6章 心神喪失者等医療観察法とは
1 制度の概要
2 医療観察法の運用状況
3 医療観察法の手続の流れ
第7章 当初審判の付添人活動
1 付添人の役割と視点
2 初動段階における付添人活動
3 付添人として検討すべきこと
4 カンファレンスへの対応
5 審判期日と決定
第8章 抗告
1 抗告制度とは
2 当初審判の付添人としてすべきこと
3 抗告審から付添人に就任した場合
4 抗告審で付添人がすべきこと
5 再抗告の申立て
第9章 入院中・通院中の付添人活動
1 入院処遇の流れと審判手続
2 入院継続・退院・処遇終了手続
3 入院対象者と弁護士との関わり
4 処遇改善請求
5 通院中の付添人活動
精神保健福祉法
第10章 精神保健福祉法とは
1 精神保健福祉法の位置づけ
2 入院形態
3 処遇
4 人権保障のための制度
5 弁護士が関わるために
6 退院支援
第11章 退院請求・処遇改善請求手続における代理人活動
1 初回相談への対応
2 患者との面会
3 主治医との面談
4 精神科ソーシャルワーカー等との面談
5 家族等関係者との面談
6 受任判断とその後の活動
7 環境調整
8 請求書・意見書の作成提出等の代理人活動
9 意見聴取への立会い
10 精神医療審査会における意見陳述
11 審査の結果通知
第12章 シミュレーション退院請求手続
1 精神病院からの電話
2 病院での面会
3 退院請求の準備
4 医療記録の閲覧と再度の面会
5 退院請求手続
6 審査結果
当事者の特性と支援者・支援制度
第13章 未成年者の場合
1 乳幼児・児童と精神障害
2 思春期と精神障害
3 少年事件
4 検察官送致の対象事件
5 逆送された場合
6 児童福祉法による措置
7 精神保健福祉法上の注意点
8 未成年者の今後の生活のために——障害年金への配慮
第14章 家族との関係
1 家族の役割
2 本人と家族との関係に問題がある場合
3 家族会など家族への支援について
第15章 福祉制度の使い方
1 福祉の分野に関する弁護活動
2 関係機関との連携
3 キーパーソンの確保——後見制度の利用
4 生活費の調達方法
5 医療・福祉サービス