刑事弁護の展開と刑事訴訟

刑事弁護の展開と刑事訴訟

刑事弁護の役割を理論的に探る。

著者 大出 良知
出版年月日 2019/10/15
ISBN 9784877987381
判型・ページ数 A5・368ページ
定価 本体4,800円+税
在庫 在庫あり

この本に関するお問い合わせ・感想

1980年代後半、日本の刑事裁判は絶望的とまでいわれた。それにともない刑事弁護も停滞していた。その停滞を打破すべく1990年に当番弁護士制度が創設された。その後、刑事弁護の発展は目覚ましいものがある。本書は、日本国憲法下の戦後改革における弁護士自治の確立から当番弁護士・被疑者国選弁護制度導入まで、刑事弁護における先陣たちの苦難の歴史を鳥瞰し、刑事司法における刑事弁護の役割を理論的に位置づける。
第1部 日本国憲法下における刑事弁護の歴史

 第1章 戦後改革における刑事弁護

 第2章 刑事訴訟法の施行前後から平野『刑事訴訟法』前後まで(1950年代)

 第3章 誤判問題の展開から学生公安事件前夜まで(1960年代)

 第4章 学生公安事件から「弁護人抜き裁判法案」まで(1970年代)

 第5章 死刑確定囚再審から被疑者弁護の充実・強化への胎動まで(1980年代)

 第6章 松江人権シンポから司法制度改革審議会まで(1990年代)

 第7章 刑事弁護の質的向上の到達点と課題─21世紀を迎えて

第2部 刑事弁護担い手論の展開

 第1章 1980年代半ばまでの司法動向の特徴と課題

 第2章 刑事弁護による刑事手続改革へ

 第3章 憲法・刑事訴訟法における刑事弁護の位置

第3部 刑事弁護による改革可能性

 第1章 刑事弁護の隘路の克服へ

 第2章 刑事弁護による「調書裁判」の克服へ

 第3章 被疑者取調問題の展開

 第4章 刑事弁護への期待と課題

 第5章 刑事司法改革と刑事弁護
はしがき 
第1部 日本国憲法下における刑事弁護の歴史
第1章 戦後改革における刑事弁護
 1.日本国憲法と刑事弁護
 2.憲法改正論議以前の改革論議
 3.憲法改正論議における刑事弁護
 4.日本国憲法の下での改正論議
 5.条文案の変遷
 6.国会審議へ
 7.戦後改革の意義
第2章 刑事訴訟法の施行前後から平野『刑事訴訟法』前後まで(1950年代)
 1.日本国憲法施行後の刑事手続の運用状況
 2.刑事訴訟法の施行と被疑者弁護
 3.被疑者弁護をめぐる攻防
 4.被告人弁護をめぐる状況
 5.1950年代の刑事手続環境と刑事弁護
第3章 誤判問題の展開から学生公安事件前夜まで(1960年代)
 1.刑事手続をめぐる問題状況
 2.誤判問題の展開と弁護権論をめぐる新たな動き
 3.弁護実務の実情
 4.1960年代の刑事手続環境と刑事弁護
第4章 学生公安事件から「弁護人抜き裁判法案」まで(1970年代)
 1.刑事手続をめぐる問題状況
 2.集団的公安事件と弁護
 3.「弁護人抜き裁判法案」をめぐる攻防
 4.弁護実務の実情
 5.1970年代の刑事手続環境と刑事弁護
第5章 死刑確定囚再審から被疑者弁護の充実・強化への胎動まで(1980年代)
 1.刑事手続をめぐる問題状況
 2.「検察官司法」の実相
 3.平野論文のインパクト
 4.接見交通権をめぐる展開
 5.被疑者弁護の充実・強化へ
 6.1980年代の刑事手続環境と刑事弁護
第6章 松江人権シンポから司法制度改革審議会まで(1990年代)
 1.刑事手続をめぐる問題状況
 2.松江シンポと当番弁護士制度の発足
 3.当番弁護士制度の展開
 4.刑事弁護センターと被疑者弁護
 5.被疑者弁護をめぐる新たな展開
 6.被疑者弁護の到達点とその意義
 7.1990年代の刑事手続環境と刑事弁護
第7章 刑事弁護の質的向上の到達点と課題─21世紀を迎えて
 1.21世紀を前にしての問題状況
 2.新たな弁護態勢の創設へ
 3.弁護活動の質をめぐる議論の経緯
 4.司法改革関連法成立までの弁護士会の対応
 5.司法改革関連法成立後の弁護士会の対応
 6.刑事弁護の質的向上の新たな段階へ─結びにかえて
第2部 刑事弁護担い手論の展開
第1章 1980年代半ばまでの司法動向の特徴と課題
 1.はじめに
 2.80年代統治政策と司法
 3.司法統制─人的側面
 4.司法合理化の現状
 5.裁判内容統制の現状
 6.全体的な特徴
 7.われわれの課題
第2章 刑事弁護による刑事手続改革へ
第1節 [講演]刑事手続再生への道はあるか
 1.刑事手続は絶望的か
 2.戦後刑事手続の流れ
 3.取調べ問題の展開
 4.公判手続の問題
 5.鍵を握るのは弁護人
 6.刑事弁護対策委員会を
第2節 [報告レジュメ]刑事弁護の実践的可能性の追求へ
 1.問題の所在
 2.弁護権を中軸とする刑訴法理論の構築へ向けて
 3.実践的弁護可能性の追求へ向けて
第3節 [助言者発言]プロレオ刑事訴訟法学の構築を目指して
 1.はじめに
 2.東大裁判が刑事裁判に与えた影響
 3.弁護権と当事者主義刑事訴訟法理論
第3章 憲法・刑事訴訟法における刑事弁護の位置
第1節 刑事弁護の憲法的基礎
 1.はじめに
 2.日本国憲法と弁護権
 3.弁護権論の系譜
 4.課題は何か
第2節 被疑者国選弁護制度実現を目指して
 [講演録Ⅰ]憲法からみた当番弁護士制度の今日的意義
 1.はじめに
 2.わが国における弁護権保障の歴史
 3.現行規定とその運用
 4.学説による憲法規定の再評価
 5.刑事弁護をめぐる状況と被疑者国選
 6.おわりに
 [講演録Ⅱ]憲法からみた被疑者国選弁護
 1.はじめに
 2.戦後改革における官選弁護から国選弁護への議論
 3.まとめの発言
第3部 刑事弁護による改革可能性
第1章 刑事弁護の隘路の克服へ
 1.はじめに
 2.刑事弁護の50年
 3.刑事弁護の主体的条件
 4.刑事弁護の課題
第2章 刑事弁護による「調書裁判」の克服へ
 1.「調書裁判」の構造
 2.担い手の動きと事態打開の可能性
 3.刑事弁護の可能性
第3章 被疑者取調問題の展開
 1.はじめに
 2.戦後改革における被疑者取調(1945年~1948年)
 3.人権侵害的取調の横行(1949年~1953年)
 4.捜査の適正化と弾劾的捜査観(1953年~1963年)
 5.適正化から刑事警察の「強化」へ(1963年~1970年)
 6.裁判所の変質と取調否定説(1970年~1982年)
 7.取調問題の新たな展開(1982年~1988年)
 8.「事件に強い警察確立」へ(1989年~1996年)
 9.おわりに─取調の位置と代用監獄問題
第4章 刑事弁護への期待と課題
第1節 逆転無罪事件からみえてくる刑事弁護の課題
 1.特集の趣旨と意義
 2.無罪判決の統計上の位置
 3.有罪率99.9%の実態
 4.無罪獲得の条件
第2節 当番弁護士による被疑者弁護の展開
 1.特集の趣旨と課題
 2.刑事弁護の40年
 3.当番弁護士活動の9年
 4.被疑者弁護の変化と課題
第3節 保釈の実状と刑事弁護
 1.保釈の現状
 2.保釈減少の原因
 3.保釈拒否の実相と刑事弁護の課題
第4節 事件報道の現状と刑事弁護の課題
 1.犯罪報道をめぐる問題状況
 2.犯罪報道の現場の実情
 3.刑事弁護の対応方策
第5章 刑事司法改革と刑事弁護
第1節 刑事司法改革の行方
 1.はじめに
 2.審議会での論議の経過
 3.自白偏重手続の克服
 4.公的費用による被疑者弁護制度の確立
 5.裁判員制度の導入の波及効果
 6.刑事弁護の一層の活性化を
第2節 『季刊刑事弁護』と刑事司法改革
 1.『季刊刑事弁護』創刊の意義
 2.『季刊刑事弁護』の10年
第3節 裁判員制度と刑事弁護人の役割
 1.裁判員制度の目的
 2.裁判員制度導入の経緯
 3.裁判員制度の基本枠組み
 4.人数問題の意味
 5.裁判員の常識による裁判を
 6.死刑にどう向き合うべきか
 7.傍聴者も裁判員

あとがき

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4,800円+税

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