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最高裁、GPS捜査について初の違法判断
最高裁大法廷は、3月15日、GPS捜査について初の判断をした。「令状なしGPS捜査 違法」などの見出しで各紙が報道。
担当弁護士から「満額回答」との発言がでるほどの画期的判決である。
季刊刑事弁護では89号で、「GPS装置による動静監視」と題するGPS捜査についての特集を組んでいる。
その中で、緑大輔氏(一橋大学准教授)は、この問題の背景をつぎのように指摘している。
「GPS動静監視の問題は、電子情報技術の発展に伴う捜査機関の情報取得コストの低下と、その帰結としての莫大な情報の取得の可能性が生じたことによって、問題が先鋭的に表現されたものだと言える。捜査機関、民間事業者問わず、各所で収集されている個人のプライバシーの保護の在り方については、今後、さまざまな場面でさらに問題になっていくであろう」。
本特集は、アメリカ、ドイツにおけるGPS捜査の実情も紹介しているので、最高裁が要求した「新たな法律」を検討するうえでもおおいに参考になる。
最後に、警察庁の反応について。即日、警察庁は、全国の警察に対して、「検証として行うものも含め、移動追跡装置を用いての車両の位置情報を取得する捜査を控えるよう」指示した。
えん罪事件で、警察は「捜査は適法に行われた」などと裁判所の判断を無視する態度をよくとるが、それと比較して、「称賛にあたいする反応」であった。