治療的司法研究センター設立

 今春、成城大学治療的司法研究センターが設立された。その記念講演会が、去る6月10日、同大学でひらかれた。

 村木厚子氏(元厚生労働省事務次官、現在、法務省再犯防止推進計画等検討委員会の有識者構成員)が、「『罪を犯した人』のことを考える——再犯防止は支援が鍵」と題する基調講演を行った。自身の拘置所生活で見た収容者ことや生活保護制度やホームレス対策などを担当した体験に基づいて、「罪を犯した人」の再犯防止の現状と方策を話された。また、林大悟氏(弁護士・同センター客員研究員)が、「クレプトマニアの弁護について」、菅原直美氏(弁護士・同センター客員研究員)が、「薬物依存症の回復支援と治療的司法——弁護実践報告と、これからの研究課題について」と題してそれぞれ事例を報告した。

 最後に、同センター長の指宿信教授が、調査研究をすすめることと並行して治療的司法という考え方に賛同する支援者や依存症離脱支援者などさまざまなグループと連携してネットワーク構築も進めると、今後の方向を語って締め括った(詳しくは、同研究センターのホームページhttp://www.seijo.ac.jp/research/rctj/を参照)。同センターが、治療的司法の研究と実践の拠点になることを期待したい。

 この治療的司法という考え方は、刑事弁護では「情状弁護」の中で意識されてきたもで、とくに薬物依存症による犯罪やクレプトマニアによる万引き事件などで徐々にではあるが浸透してきた。季刊刑事弁護87号(2016年)に「各地で息づく『治療的司法』の実践」という特集が組まれている。また、この考え方は、故髙野嘉雄弁護士が「情状弁護」中で発展させた「更生に資する弁護」にその第1歩があるといわれている。奈良弁護士会編『更生に資する弁護(髙野嘉雄弁護士追悼集)』のご一読をお薦めしたい。

シェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加