大崎事件再審開始決定で、検察側は不服として即時抗告

 大崎事件第3次再審請求で、鹿児島地裁(冨田敦史裁判長)の開始決定に対して、7月3日鹿児島地検が即時抗告した。弁護団は会見で「言葉が出ない」と、検察の方針に憤りを込めて批判した。


 この再審決定の柱の一つとして、弁護側から提出した自白や証言の内容を分析した「供述心理」があるが、今後検察側はこれについて「独自の見解」などとして反論して来ることが予想される。


 こうした動きは、2014年に静岡地裁で再審決定があった袴田事件にも共通している。そこでは、DNA鑑定が焦点となっている。再審開始決定の決め手の一つとして、再審請求人の袴田巌(81歳)さんの「犯行着衣」とされたシャツに付着していた血液から抽出したDNA型が袴田さんのものと一致しないとする本田克也筑波大学教授(法医学)による鑑定がある。


 この鑑定で使われたDNA抽出法は、皮脂、汗、唾液などが混じった血痕から血液のDNA だけを取り出す手法で、「選択的抽出方法」と呼ばれている。検察側は、この手法について「独自の手法で信用できない」として、新たな検証実験を求めた。東京高裁(大島隆明裁判長)はそれを認めて、検察推薦の鈴木廣一大阪医科大学教授(法医学)に嘱託鑑定を依頼した。このほどその最終報告書が裁判所に提出されたが、ここまでに再審決定から3年もの時間が経過した(鑑定内容の詳細とマスメディアの「誤報」については、週刊金曜日7月7日号に記事が掲載される予定)。


 いずれの事件でも再審開始までに長期間を要しているが、このように決定が出ても検察側がそれに対して、いたずらに不服申立てをするためさらに時間が費やされる事態が生じている。


 大崎事件では、2002年に1度再審開始決定がなされているが、検察の即時抗告が認められ再審開始にならなかった。今度は2度目の開始決定である。再審請求人の原口アヤ子さんは現在90歳であり、弁護団、支援グループは一日も早い救済を求めている。


 こうした再審請求審のあり方に風穴を開けようと、再審理論の活性化に向けた特集「再審理論の新展開」が季刊刑事弁護91号(7月20日発行)で組まれる。


 若手・中堅の研究者がこれまでの再審理論に一石を投じる論文を執筆し、それに対して再審理論の発展に貢献してきた研究者と再審請求に携わる弁護士がコメントする構成である。その中で、とくに再審請求審のライト化を提唱する中川孝博國學院大学教授の論文「再審請求審のライト化に向けて」は、大きな議論を呼ぶものと思われる。

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