自民党憲法改正推進本部、「緊急事態条項」を議論

 自民党は、都議選の大敗にもかわらず、憲法改正への準備を着々と進めている。

 7月5日、自民党憲法改正推進本部(本部長・保岡興治)は、大災害などに備える「緊急事態条項」の創設について議論した。保岡氏ら幹部は、選挙の実施が困難な場合に国会議員の任期を延長する改正を優先したい考えだが、出席者からは、同党の2012年憲法改正草案に盛り込んだ「首相の権限強化」を検討すべきだという意見が相次いだと、毎日新聞が報じている。

 「首相の権限強化」とは、まさに緊急事態条項(国家緊急権)の核心で、昨年末まで自民党内では、東日本大震災やフランスでの同時多発テロを〈緊急事態〉の例としてあげながら、同条項の導入の必要性をさかんに強調していた。ここには、国民に受け入れられやすいところから改憲をはじめていこうという意図があらわれている。

 今年の憲法記念日で、安倍首相が9条に3項を設けて自衛隊を明記する9条改正を発言したため、自民党は、緊急事態条項の「加憲」を後回しにして9条改正へと舵をきったのではないかと思っていた。しかし、どうやら、緊急事態条項創設をあきらめてはおらず、一気に全面改憲へもっていこうとしているようだ。

 緊急事態条項は、〈いざという時に国民の生命を守るために、一時的に憲法を停止できる〉とするものである。その「いざという時」が戦争、内乱、テロ、大規模災害だというのだ。思わず納得しそうだ。しかし、それは「首相の権限強化」で、国会の停止、裁判所の停止、表現の自由の停止……などなど、なんでもできることを意味する。清末愛砂ほか編著『緊急事態条項で暮らし・社会はどうなるか』(5月発行)は、緊急事態条項とは何かとそれによっておきる怖い現実を、諸外国の法制度を紹介するとともに、若手研究者、弁護士、ジャーナリストが丁寧に解説する。

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