現代人文社





 2011年10月23日に選考委員会を開き、厳正な審査の結果、下記のとおり最優秀新人賞1名、優秀新人賞2名、特別賞1名を選ばせていただきました。

最優秀賞:山本了宣(大阪弁護士会・新62期)

優秀賞:菅原直美(札幌弁護士会・新63期)

優秀賞:炭谷喜史(兵庫県弁護士会・新61期)

特別賞:三澤太雅(横浜弁護士会・新61期)


今年度も選考委員が全ての応募作に目を通し、評価させていただきました。応募数が24通であったうえに、いずれのレベルも高く、本当に甲乙つけがたいものばかりでした。

  最優秀賞に選ばれた山本さんは、初めての否認事件が裁判員裁判であり、一審では有罪判決を受けたものの、二審では一部無罪を獲得されたという事案です。その成果もさることながら、一審の反省のうえに立った、さらなる弁護活動を深めていったという経緯のなかに、その創意・工夫が示されていると思いました。ことに、記録を子細に検討し、そのなかで店長の嘘を暴いていった経過には、闘う刑事弁護の姿を感じました。

  優秀賞に選ばれた菅原さんは、情状弁護ではありますが、被疑者の窃盗の動機に疑問を抱き、福祉関係者との同行面会や受入先の施設の訪問など、まさに被疑者の「生き直しの場」を模索する弁護活動を行われたといえるでしょう。

  同じく優秀賞に選ばれた炭谷さんは、尿から覚せい剤反応が出たという決定的に不利な状況で、かつ、被疑者の弁明も一見すれば荒唐無稽なものであったにもかかわらず、被疑者を信じ、まさしく「足でかせいだ」弁護活動をされました。

  特別賞に選ばれた三澤さんの事案は、尿の鑑定書を違法収集証拠として証拠排除され、無罪判決が一審で確定したというものでした。ことに、期日間整理手続のなかで数々の証拠開示請求を行なったことが、無罪につながったといえ、証拠開示請求の重要性を示す一例として、貴重な成果をあげられた活動だったと思います。


 受賞レポートは、加筆修正をしていただいたうえで、『季刊刑事弁護69号』('12年1月発売)に掲載しております。

【受賞レポート】
・最優秀賞 目撃者は実はいなかった--裁判員裁判控訴審破棄一部無罪 山本了宣
・優秀賞 「生き直しの場」を模索すること 菅原直美
・優秀賞 「足」で稼ぎ「足跡」でたぐり寄せた否認事件の勾留請求却下と不起訴処分 炭谷喜史
・特別賞 2つの重大な違法捜査が認定された事例 三澤太雅

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新人賞の沿革
 伯母治之・児玉晃一両弁護士が、1997年4月、詐欺被疑事件において接見妨害を行った検察官と違法な接見指定を看過して準抗告を棄却した裁判官の責任を追及すべく国家賠償訴訟を、東京地方裁判所に提起しました。この訴訟提起が新人賞創設のはじまりです。
 この訴訟で、2000年12月25日、東京地方裁判所は、伯母弁護士に慰謝料として10万円の支払いを命じましたが、児玉弁護士の請求を棄却しました。続く控訴審では2002年3月27日、伯母弁護士に慰謝料を増額し25万円の支払いを命じましたが、児玉弁護士の請求は棄却されました。これに対して、両弁護士は、伯母弁護士の慰謝料が増額され、児玉弁護士の請求に関しては棄却されたものの内容は良くなったことなど諸般の事情を考慮して、上告せず、判決が確定することになりました。
 その後、弁護団と両弁護士は、賠償金の25万円と全国の弁護士からのカンパの残余金を、全国の新人刑事弁護人の励みにして欲しいという願いから、新人賞の賞金として現代人文社に託しました。これを基金にして、2003年に季刊刑事弁護新人賞が創設されました。
 その後も季刊刑事弁護執筆者を中心とする多くの皆さまからご寄付がよせられ、年に1度、賞を贈呈しています。


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